マヌカハニー効能や効果は本当?【エビデンスも徹底解説】

蜂蜜の抗菌性が学術的に確認されたのは1892年のオランダの科学者であるVan Ketelの発表した学術論文の(Dustmann, 1979)ですが、様々な臨床報告があっても近代医療では蜂蜜の治療効果に合理的な説明はつかないとされてきました。
しかし1990年台になると、マヌカハニーを始めとする蜂蜜全般が民間医療だけではなく、近代医療にも活用することが出来ないか、効果や効能を本当に証明できるのかと考えるような風潮が高まりました。
マヌカハニーの抗菌性や活性強度に関しては、ニュージーランドのワイカト大学のピーター・モラン教授が中心になって、1989年以降に研究が本格的に行われ、マヌカハニー独自の殺菌成分(食物メチルグリオキサール)が発見されたことで、医薬品としても活用されるようになりました。
ピーター・モラン教授の研究結果により、潰瘍や火傷、外傷や傷創、外科手術後の皮膚感染に対して本格的に活用されていますが、それ以外にも多くの情報がネットに溢れていますが、本当に効果的なのかをこの記事では確認していきたいと思います。
日本で考えられているマヌカハニーの効果や効能は、
- ピロリ菌や胃炎、十二指腸潰瘍などの胃腸疾患の症状改善
- 虫歯や口内炎、歯周病や口臭などの口腔内疾患の症状改善
- 風邪やインフルエンザ、喉の痛みや鼻づまり等の症状改善
- 切り傷や火傷、外傷による皮膚疾患の症状悪化
- 患部の炎症を和らげる抗炎症作用
- 整腸作用や腸内環境を改善する作用
- 角膜炎や結膜炎、眼瞼炎などの眼疾患の症状改善
- 副鼻腔炎や難治性副鼻腔炎の症状改善
- がんの予防や治療などの症状改善
- 糖尿病の予防やコレステロール値の改善
ここからは実際の学術論文や学術発表などの情報も踏まえて、本当にマヌカハニーの効能や効果で症状を改善できるのかについて解説していきます。
ピロリ菌や胃炎、十二指腸潰瘍などの胃腸疾患の症状改善
日本でマヌカハニーが話題になったのは、ピロリ菌を除菌する作用を発揮して抗生物質を使わずに、マヌカハニーで除菌治療ができると評判になったからだと思います。
1994年にWHO(世界保健機関)が行った報告でも「ヘリコバクター・ピロリ菌は胃がんの原因である」と明確にされています。
50代以上の日本人のピロリ菌感染者は80%以上とも言われていますので、日本人にいがん患者が多かったのは、ピロリ菌感染による影響だったと考えるべきすし、2013年頃まではがんの部位別死亡原因の1位が胃がんでしたので、非常に身近な問題です。
ピロリ菌に感染していると、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍などを引き起こし、最終的に胃がんの発症に繋がりますので、マヌカハニーでピロリ菌の除菌ができるのであれば、これはぜひ実践したいところ。
ちなみに一般的なピロリ菌の治療方法は、2種類の抗生物質と胃液を抑制する薬を12時間毎に7日間飲み続ける必要があり、その間は禁酒禁煙でも除菌率が75%前後と低いので、胃がん死亡率が高い高齢男性は治療が続かない傾向があります。
マヌカハニーのピロリ菌に対する学術発表は多数あり、学術発表のAl Somai et al., (1994)は、イギリスの医療雑誌の【Journal of the Royal Society of Medicine】にも掲載されたこともあり有名です。
これはマヌカハニーとレワレワハニーと普通の蜂蜜から40%濃度の水溶液を作成し、48時間培養後のヘリコバクター・ピロリ菌に対する抗菌活性を比較したもの。
検体番号 | マヌカハニー UMF12 |
レワレワハニー | 他の蜂蜜 |
1 | 死滅 | 生存 | 生存 |
2 | 死滅 | 生存 | 生存 |
3 | 死滅 | 生存 | 生存 |
4 | 死滅 | 生存 | 生存 |
5 | 死滅 | 生存 | 生存 |
40%濃度のマヌカハニーの全ての検体で、ヘリコバクター・ピロリ菌を殺菌することができましたが、他の蜂蜜よりも過酸化水素による抗菌活性力の強いレワレワハニーや普通の蜂蜜では、完全に殺菌することはできませんでした。
マヌカハニーのピロリ菌に対する抗菌活性力を確認できたことで、どこまで希釈してもその効果を発揮することができるのかも、この学術研究では確認されており、
検体番号 | 10% | 5% | 2.5% | 0% |
1 | 死滅 | 死滅 | 僅かに生存 | 生存 |
2 | 死滅 | 死滅 | 僅かに生存 | 生存 |
3 | 死滅 | 死滅 | 僅かに生存 | 生存 |
4 | 死滅 | 死滅 | 僅かに生存 | 生存 |
5 | 死滅 | 死滅 | 少し生存 | 生存 |
6 | 死滅 | 死滅 | 少し生存 | 生存 |
7 | 死滅 | 死滅 | 殆ど死滅 | 生存 |
これらの研究結果から、UMF12+以上のマヌカハニーを使うことで、2.5%以上の濃度でピロリ菌活性が見られ、5%濃度以上でピロリ菌を死滅できることが確認されています。
ピロリ菌対策にマヌカハニーを活用する場合は、1日3〜4回(小さじ1杯)を空腹時に摂取すべきだと紹介しているのは、メチルグリオキサールのピロリ菌への抗菌活性を期待してのことでしょう。
神戸市の中野クリニックという病院で、UMF25+(MGO550)のマヌカハニーを使ったピロリ菌保菌者への臨床試験が行われており、10gのマヌカハニーを食事の30分前と就寝する10分前に摂取することで、2週間後の便検査でピロリ菌を除菌できたことが確認されています。
このようにピロリ菌感染をきっかけにする、胃炎や胃潰瘍などの胃腸疾患を予防改善することで、胃がんの予防にも活用できるのではないかと考えることも出来ますので、胃腸が弱い人は医療レベルの高濃度のマヌカハニーを摂取すると良いでしょう。
虫歯や口内炎、歯周病や口臭などの口腔内疾患の症状改善
虫歯の原因菌であるミュータンス菌に対するマヌカハニーの殺菌力は、ピーター・モラン教授も確認していることもあり、ニュージーランドではマヌカハニー入りの歯磨き粉が販売されているほど。
さらにピーター・モラン教授が行った研究では、歯肉炎や歯垢の減少にもマヌカハニーが効果を発揮するなど、口腔内疾患の原因となる口内細菌の抑制に非常に優れた効果を発揮することが確認されています。
学術論文としては、2014年に発表された【Evaluation of the effects of manuka honey on salivary levels of mutans streptococci in children.】でもマヌカハニーを活用した口腔ケアの方法とその効果が紹介されています。
この実験では、UMF19.5+という非常に高濃度のマヌカハニーを使って行われ、5mlのマヌカハニーを口に含んで1分ほど経過してから、唾液とともにマヌカハニーを吐き出し、30分間飲食を控えることで、ミュータンス菌を減少させたことを確認。
被験者は9〜12歳の子供で1日2回の口腔ケアを21日間行うことで、有意な減少効果を確認していますので、虫歯に悩むお子様におすすめでしょう。
2018年にインドで行われた12〜15歳の子供のマヌカハニーと生ハチミツ、クロルヘキシジンの3種類のうがい薬の有効性を確認した学術論文の【Effectiveness of three mouthwashes – Manuka honey, Raw honey, and Chlorhexidine on plaque and gingival scores of 12-15-year-old school children: A randomized controlled field trial.】
この臨床試験でも、蜂蜜ベースのうがい薬は、虫歯・歯垢・歯肉に対して有望な抗菌効果を示したことが確認されています。
この臨床試験では、蜂蜜ベースのうがい薬とクロルヘキシジンマウスウォッシュ(0.2%)の各10ミリリットルを、21日間1日2回のグループ割り当てに従って投与。
マヌカハニーも生ハチミツのうがい薬を使用したグループも、臨床試験終了翌日の検査とその1週間後の検査でもクロルヘキシジンのマウスウォッシュを使ったグループと同等の有効性が確認されていますので、口腔ケアにマヌカハニーを活用するメリットはあるでしょう。
マヌカハニーを使った他の実験でも、歯周病の原因細菌であるポルフィロモナス・ジンジバリスやアグリゲイティバクター・アクチノミセテムコミタンスを有意に減少させることも確認されています。
口内細菌が減少したり、歯垢や歯肉炎、歯周病の症状が収まることで気になる口臭も減少する効果が期待できますし、胃腸不良による口臭にもマヌカハニーなら改善効果が期待できるかもしれませんね。
日本国内で行われた検査でも、マヌカハニーとアカシアはちみつによる口臭低減比較検査でもマヌカハニーの方がアカシアはちみつよりも優れていることを確認。
さらにマヌカハニー含有キャンディーと市販の口臭予防のカプセル、タブレット、ガムと比較してもマヌカハニーの口臭低減作用の優位性は変わりませんでした。
風邪やインフルエンザ、喉の痛みや鼻づまり等の症状改善
マヌカハニーが子供や高齢者の風邪やインフルエンザの予防や症状改善に役立つと話題ですが、これは2014年に長崎大学が発表した【Anti-influenza viral effects of honey in vitro: potent high activity of manuka honey.】という論文が参考になります。
この論文報告では、インフルエンザ感染後のタミフルやリレンザに併用する形で3.13mg/mlのマヌカハニーを活用すると、一回の使用量が約1/1000でも通常使用と同等の抗ウイルス効果を実感できるというもの。
インフルエンザ治療薬のタミフルやリレンザは子供の異常行動が問題にもなった薬ですので、その使用量を抑制しながらも、インフルエンザウイルスにしっかり作用するのは嬉しいポイント。
さらにスーパーフードのマヌカハニーは、ビタミン類やミネラル類を中心に190種類以上もの栄養素をバランス良く摂取できることで、風邪やインフルエンザで体力が低下している時の栄養補給にも役立ちます。
抗炎症作用があるマヌカハニーなら、喉の腫れや扁桃腺の腫れや炎症にも作用しますので、のどが痛い時はマヌカハニーをゆっくり飲み込んで、炎症部分にしっかり絡みつくようにしましょう。
その後は水分の補給をしばらく控えることで、マヌカハニーのMGO(メチルグリオキサール)がしっかり殺菌してくれます。
鼻づまりが気になる時は、白湯や生姜湯などにマヌカハニーを溶かして飲むことで、鼻づまりの症状が改善しますし、つらい症状で子供がなかなか寝付けない時は、ホットミルク+マヌカハニーでリラックス効果が得られますので、これもおすすめの飲み方です。
切り傷や火傷、外傷による皮膚疾患の症状悪化
元々ニュージーランドのマオリ族が古くから経験的にマヌカハニーを創傷治癒に利用してきたこともあり、マヌカハニーが切り傷や火傷、外傷等による皮膚疾患の回復に役立つという症例や報告は数多くあります。
その延長線上で、手術後の創傷を回復させる作用があることも確認されており、日本では宮城県仙台市の国立病院機構仙台医療センターで、手術後の切開部分の回復促進と感染予防にも使われていますので、安全性についても心配する必要はないでしょう。
ピーター・モラン教授の報告でも、傷・火傷・化膿等の皮膚疾患にマヌカハニーを用いると医薬品による消毒よりも、患部のバクテリアを素早く消失させ、痛みや傷からの悪臭なども早期に消失させることができるとあります。
さらに浸透速度の早く深部まで到達するマヌカハニーは、細胞の新陳代謝を促進し、患部の修復が必然的に早くなり回復までの時間を早めることが可能。
最近の絆創膏には湿潤療法(傷跡を乾燥させずに回復を促進する)を採用したタイプもあり、マヌカハニーとガーゼを使うことでも、湿潤療法と同じような効果を実感することができます。
マヌカハニーは傷口に対して適切な湿度と殺菌作用を発揮し、傷口に当てたガーゼが癒着することがなく、ガーゼの交換時が極めて容易で苦痛も少なく、回復過程の細胞にダメージを与えず、発赤や盛り上がりも少ないので、傷跡が残りにくい治療が可能になります。
この効果を利用した医薬製品がニュージーランドやイギリスなどでは「APINATE DRESSING」という医療用のマヌカハニーを含浸させたアルギン酸カルシウム繊維を含む非粘着性創傷被覆材が発売されていますので、その効果の高さが医療レベルだということがわかるでしょう。
患部の炎症を和らげる抗炎症作用
マヌカハニーの持つ抗炎症作用に関しては、ラットを使った炎症性腸疾患に関する2008年の論文発表の【Effect of different doses of Manuka honey in experimentally induced inflammatory bowel disease in rats.】が有名でしょう。
大腸炎を発症させた30匹のラットを5群に分けて、エタノール、TNBS、マヌカハニー(5g/kg)、マヌカハニー(10g/kg)、スルファサラジン(360mg/kg)を14日間投与した結果、大腸炎の炎症モデルに対してマヌカハニーが効果的なことを確認。
マヌカハニーを使ったラット群は、抗酸化パラメーターの回復が他のグループよりも顕著なので、人間の経口摂取でも十分な炎症作用を発揮することが期待できますが、さらなる研究が必要だと結論づけています。
また創傷治癒に関する2012年の論文の【Indigenous New Zealand honeys exhibit multiple anti-inflammatory activities.】では、マヌカハニーの抗炎症活性に対して、試験管内での臨床的な人の細胞に対する反応を確認できたことを報告。
先ほども紹介したようにすでに医薬製品化された商品があることを踏まえても、マヌカハニーの抗炎症作用が治療に役立つと考えて問題ないと思います。
整腸作用や腸内環境を改善する作用
マヌカハニーのメチルグリオキサールが病原性細菌の大腸菌のO-157、ブドウ菌、ウェルシュ菌、サルモネラ菌などの殺菌作用を発揮することは様々な論文発表が行われていますので、多くの人が知っていると思います。
2014年に発表された【Comparison of the Antibacterial Efficacy of Manuka Honey Against E. faecalis and E. coli – An In vitro Study.】では、マヌカハニーの大腸菌やバンコマイシン耐性腸球菌のエンテロコッカス・フェカリスに対する抗菌活性の高さを確認。
Corp & Food Research institute, a New Zealand Government research agencyの報告では、マヌカハニーは悪玉菌を減少させる一方で、善玉菌を増やし腸内環境を善玉菌有意な状態に顕著に改善できることが報告されています。
マヌカハニーによる腸内環境の改善状況
ニュージーランドの政府機関が行った調査でも、マヌカハニーの腸内環境に与える作用が確認されており、非常に優れた整腸作用が期待できることがわかりますよね。
抗生物質でも出来ない、悪玉菌を減少させつつ善玉菌を増やす作用を発揮できるのはマヌカハニーが天然由来成分だからですので、下痢や軟便、腹痛の際にも活用したいところ。
角膜炎や結膜炎、眼瞼炎などの眼疾患の症状改善
インドのアーユルヴェーダでも古来よりバターや様々オイルを使って、目の洗浄や眼疾患の改善を行っていましたが、実はマヌカハニーを使って目のアーユルヴェーダを行っている人もいるんです。
ハチミツを目に入れるなんて・・・と思うかもしれませんが、ベネズエラやブラジルでは白内障の治療に使われていますし、ロシアやインドでは角膜炎や結膜炎、ニュージーランドでも普通に眼病治療に使われています。
これまで行われている論文発表では、眼瞼炎・ものもらい・角膜浮腫・まぶたの創傷治療・ドライアイなど様々な眼疾患でのマヌカハニーの効果の報告がありますので、医学的にもマヌカハニーを目に入れることは問題ないことがわかるでしょう。
ニュージーランドでは、「Optimel Antibacterial Manuka+ Eye Drops」というマヌカハニー入りの目薬も販売されていますので、医療的にも認められていることがわかりますよね。
実際に私もマヌカハニーで目洗浄を行なったことがありますが、最初はしみるものの終わったら視界スッキリで、白目もキレイな状態に戻ったりしてすごく良かったですが、目に使う場合は、清潔な医療レベルのマヌカハニーに限定してくださいね。
副鼻腔炎や難治性副鼻腔炎の症状改善
副鼻腔炎に対するマヌカハニーの効果を証明した研究といえば、2008年にカナダのオワタ大学のジョセフ・マーソンのチームが行い、米国耳鼻咽喉科・頭頸部外科学会で発表された研究が有名でしょう。
この研究では副鼻腔炎の原因菌である黄色ブドウ球菌などの細菌に対して、液体に浮遊する細菌はすべて殺菌し、菌膜上でも63〜91%を殺菌できることを確認しています。
さらに非常に強い耐性を持ち難治性副鼻腔炎の原因菌でもあるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対してもマヌカハニーが優れた殺菌作用を発揮することを確認し、副鼻腔炎の治療にマヌカハニーが抗生物質よりも優位性が高いと結論づけています。
副鼻腔炎の治療に際しては、マヌカハニー点鼻薬を作ることで患部に直接散布する方法と、通常の経口摂取を組み合わせると、より効果的だと言われていますので、気になる人は是非試してみてください。
他にもアレルギー性真菌性鼻副鼻腔炎(AFRS)に対する論文発表の【Single-blind study of manuka honey in allergic fungal rhinosinusitis.】や活動性慢性鼻副鼻腔炎(CRS)に対する論文発表の【Manuka honey sinus irrigation for the treatment of chronic rhinosinusitis: a randomized controlled trial.】も参考になるでしょう。
がんの予防や治療などの症状改善
マヌカハニーはがんの治療や予防に役立つ効果が期待されており、いちばん有名なのは2013年にUAEの大学で行われたバゼル・アル・ハマディ教授のチームによる論文発表【Intravenous administration of manuka honey inhibits tumor growth and improves host survival when used in combination with chemotherapy in a melanoma mouse model.】ではないでしょうか。
5年以上行っている臨床研究の結果、化学療法と並行してマヌカハニーを静脈投与すると、被験動物の生存率に改善が見られ、最少で1%程度のマヌカハニーを投与するだけでも癌細胞の成長を最大70%も阻止することができることを立証したもの。
試験管内の実験と動物実験の結果として、「乳房·皮膚·大腸にできた癌細胞の増殖(細胞分裂)を効果的に抑制する作用を確認」できていますので、今後は人体での臨床報告がどうなのかが非常に楽しみですよね。
最新の研究結果をお伝えすると・・・
この研究発表の続きとして2017年に【The IL-6/STAT3 Signaling Pathway Is an Early Target of Manuka Honey-Induced Suppression of Human Breast Cancer Cells.】の発表が同研究チームから行われています。
2種類のヒト乳がん細胞と1種類の非新生物性乳房上皮に対するマヌカハニーの効果を確認したもので、2.5%以上の濃度で3種類の細胞のすべての成長にとって一般的に有害であることと、ヒト臍帯静脈内皮細胞の血管新生機能を阻害したことなどを確認。
ヒト乳がん細胞の成長に対するマヌカハニーの作用が、チロシンリン酸化STAT3の減少とインターロイキン-6の産生の低下によるもので、マヌカハニーの殺菌作用がIL-6 / STAT3シグナル伝達経路を最も初期の潜在的標的にしていることも確認されました。
2018年のイタリアの論文では、さらに人の結腸がん(大腸がん)に関しては研究が進んでおり、HCT-116という大腸がん細胞を使って0〜20mgmL-1のマヌカハニーで細胞の増殖を低下させ、細胞死を誘発し、細胞周期を停止させることも報告されています。
しかも酸素の有無に関わらず、HCT-116細胞のエネルギー代謝を調節して、転移能を抑制しながら酸化ストレスを増強する方法で、細胞死を誘発していることも確認されているので、実際の大腸内でも同様の効果が期待できると考えられるでしょう。
この他の論文でも「5-フルオロウラシル」という治療薬を用いた結腸直腸癌(大腸がん)の治療時の副作用を抑制し、本来の薬効を補助したり、増強したりする効果が期待できるというものまであります。
日本人の中にもマヌカハニーをがん治療に使っている人も多数いるようですし、ピロリ菌除菌による胃がんの抑制作用なども考えると、様々な用途で広がっていきそうな気がしますね。
糖尿病の予防やコレストロール値の改善
マヌカハニーが糖尿病の症状改善に直接的に効果的という研究結果はありませんが、間接的には、糖尿病や高血圧、アテローム性動脈硬化症や癌およびアルツハイマー病の原因として、酸化ストレスが影響を及ぼしていると考えられています。
マヌカハニーを含む蜂蜜には、抗菌、肝保護、低血糖、生殖、抗高血圧、抗酸化作用などの薬効があると言われています。
2012年に行われたマレーシア大学の論文発表【Honey: a novel antioxidant.】で、糖尿病のラットを使った実験では、膵臓や腎臓、血清に対する蜂蜜と抗糖尿病薬の相乗的抗酸化効果が確認され、酸化ストレスを改善する可能性があることが報告されています。
直接的な作用ではありませんが、マヌカハニーは通常の蜂蜜と違って、果糖の割合が高く低〜中GI食品(48~67前後)なので食後の血糖値の上昇が少ないことがわかっていますので、砂糖の代わりにマヌカハニーを料理に使うのはおすすめでしょう。
マヌカハニーの糖尿病に関する効果としては、糖尿病性足潰瘍や壊疽に対する症例報告が多い傾向がありますので、万が一の際の治療方法のひとつと考えておくと良いかもしれません。
マヌカハニーのコレステロール値の低下に関する効果に関しては、すでにその仕組みも解明されていますし、蜂蜜にはコレステロール値を低下される作用があることが多数報告されてい状況。
マヌカハニーは他の蜂蜜に比べてブドウ糖から変換されるグルコン酸が多く、グルコン酸は善玉菌の増殖や活動をサポートして善玉菌が増えます。善玉菌は胆汁酸を取り込む性質があり、胆汁酸はコレステロールから作られるもの。
善玉菌が胆汁酸を取り込んでしまうと、肝臓ではコレステロールを原料に新たに胆汁酸を作る必要があり、余分なコレステロールが胆汁酸の分泌に使われることで、血中コレステロール値が低下する仕組みが作用します。
過剰摂取を行わなければ、糖尿病にもコレステロールにも良い影響を与える可能性が高いので、通院中の方は医師と相談しながら摂取するようにしてください。
マヌカハニー効能と効果の記事まとめ
海外の学術発表や論文から多くの情報をまとめたことで、少し理解するのに時間がかかる内容になってしまいましたが、マヌカハニーに関する多くの学術研究が世界中で行われていることもわかっていただけたと思います。
今回はできるだけ臨床実験に近いものを選んだつもりですが、多くが試験管内での実験や動物実験に関するもので、まだまだ臨床で効果が認められ、医療現場で明確な仕組みを理解した上で使われていない状況ですね。
マヌカハニーの効能や効果は、さらなる研究が進み、どんどん明確になっていくことが期待されていますし、世界の医療現場で多剤耐性菌問題に対する効果的な対処法のひとつだと考えられています。
耐性菌問題は、2050年に年間1000万人が死ぬ可能性があるとWHO(世界保健機関)も警鐘を鳴らしていますので、抗生物質に頼るのではなく、マヌカハニーのような天然由来成分を活用して、多剤耐性菌を発生させない治療法が確立されることが期待されます。
ネット上に溢れる様々なマヌカハニーの情報は多くが裏付けのないものですので、そういった情報に惑わされることなく、少し難解で時間がかかっても、正しい情報や知識を手に入れた方がよいと思いますよ。
マヌカハニー大辞典おすすめのマヌカハニー情報
この記事を読んでマヌカハニーへの理解度もアップし、より興味を持たれた人も多いと思います。
私はマヌカハニー好きすぎて、日本国内で販売されているUMF20+以上のマヌカハニーのほとんどを購入し、自分で実際に試してきました。
その中でも特におすすめのマヌカハニーの情報と、他のマヌカハニーとの違いをまとめた記事がありますので読んでみてください。
参考文献
医療におけるハチミツの復権
マヌカ・ハニーの特異性
第10回 マヌカハニーの効果(1)<抗菌作用>
第11回 マヌカハニーの効果(2)<口臭防止作用>
Evaluation of the effects of manuka honey on salivary levels of mutans streptococci in children: a pilot study.
Effectiveness of three mouthwashes – Manuka honey, Raw honey, and Chlorhexidine on plaque and gingival scores of 12-15-year-old school children: A randomized controlled field trial.
Anti-influenza viral effects of honey in vitro: potent high activity of manuka honey.
Effect of different doses of Manuka honey in experimentally induced inflammatory bowel disease in rats.
Indigenous New Zealand honeys exhibit multiple anti-inflammatory activities.
Single-blind study of manuka honey in allergic fungal rhinosinusitis.
Manuka honey sinus irrigation for the treatment of chronic rhinosinusitis: a randomized controlled trial.
Intravenous administration of manuka honey inhibits tumor growth and improves host survival when used in combination with chemotherapy in a melanoma mouse model.
The inhibitory effect of Manuka honey on human colon cancer HCT-116 and LoVo cell growth. Part 1: the suppression of cell proliferation, promotion of apoptosis and arrest of the cell cycle.
The inhibitory effect of Manuka honey on human colon cancer HCT-116 and LoVo cell growth. Part 2: Induction of oxidative stress, alteration of mitochondrial respiration and glycolysis, and suppression of metastatic ability.
Manuka honey synergistically enhances the chemopreventive effect of 5-fluorouracil on human colon cancer cells by inducing oxidative stress and apoptosis, altering metabolic phenotypes and suppressing metastasis ability.
Honey: a novel antioxidant.
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